□ 無理難題シリーズ □





志賀朋之×黒田巳咲 編





■ その壱



「ココに一つのメモがある」

志賀の指先には折りたたまれた白いメモ用紙

「・・・・は?」
「作者から一つメモを渡されたんだよ。」
「はぁ・・・・・は?」
「テメー人の話し聞いてんのか?」
「いや、聞いてはいますけど・・・・それが何かって聞きたいだけです。」
「ま、言いたい事が分かるがな・・・・でだ、メモがあんだよ。」
「はい、何ですか?」
「読むぞ?」
「どうぞ。」
「【黒田巳咲に答えてもらおう、その壱】」
「・・・・・嫌な予感がしますっ」
「まぁ聞け(ニヤ)【黒田巳咲の相手である志賀朋之の好きだと思える所を一つ答える事!もし正直に答えなかった場合、その相手である志賀の判断で好き勝手に出来る券を与える。】だそうだ」
「っ!!」
「【好き勝手】にね〜そりゃまたオイシイな・・・で、答えなくてもいいぞ巳咲?」
「答える!喜んで答えさせてもらいます!」
「【追伸:無難かつその場の答えでも好き勝手されるのであしからず】」
『っ!おのれっバカ作者!!』
「で、答えちまうのか?」
「当たり前でしょう!」
「ふ〜ん・・・で、何だ?お前が思う俺の好きな所って?」
「え?あぁ・・・・急に言われても・・・」
「さぁ言え早く言え!」
「・・・・(怒)」
「決まったか?」
「・・・・そうですね・・・・指とか・・・」
「指?」
「志賀先輩の指好きです。」
「・・・・」
「空手やってる人の割りに関節が太くなくて細いじゃないですか?」
「??」
「長くて細くて綺麗だし。」
「?」
「俺は志賀先輩の指好きです。」
「ふ〜ん」
「その指に触れられるのも好きです。」
「・・・・たとえば?」
「唇を撫でられることが好きです。」
「こんな風にか?」


輪郭をなぞるように指を滑らすと、黒田は目を細める。


「はい・・・先輩、する前ってだいたい撫でますよね?」
「そうか?」
「はい・・・親指で撫でて、ちょっとその指で開かせてからキスしてくるんですよ」
「ふ〜ん・・・気付いてなかったな」
「だと思いました」

その言葉を言い終わらないうちに、志賀が唇を合わせてくる。
啄ばむように口付けたかと思うと、薄く開いた隙間から舌を滑り込ませて深く口付けてくる。
煽るような何時ものキスではなくて、味わうようなそのキスに重なりが深くなるように黒田は腕を首に回す。

「んぅ・・・・はぁ・・・もう一つ」
「ん?」

息継ぎの合間に声を漏らして、

「先輩のキスも好きです」
「そうか・・・」
「はい」

今度は黒田から唇を重ねた










■ その弐



「ここに二枚目のメモがあります」
「・・・・・・」
「呼んでも宜しいかな、巳咲君!!」
「人の眼鏡、返してもらえます?」
「男度UP!?」
「似合いません(即)」
「・・・・・・」
「で、返してください。」
「あんまり、可愛くねーこと言ってっとヤルぞこら(怒)?」
「っ!!」

ジリジリと攻防戦が始まる・・・が、

「で、で!?二枚目のメモって何ですか!?」
「あ〜ん?」
「今度は何だって聞いてるんです!」
「っち・・・・次はな・・・・」
『ほっ(安心)』
「【黒田巳咲に答えてもらおう、その弐】」
『嫌な予感が・・・・』
「【自分で思う所の性感帯とは?】だとよ(にや〜)??」
『くそ作者!!』
「で、お前が思う所の性感帯ってどこだと思う?」
『そんな急に言われたって・・・・!』
「言え、さぁ言え!!」
『言ったらアンタどうする気だ!?』

確実に責めること間違いなし。

「巳咲?」
「〜〜〜〜〜〜!!」
「言わねーと・・・・」
「いっ言います言います!!言うから近づかないでください!!」
「だったら3秒後に言え、1.2.3言え。」
「・・・・首筋?」
「・・・・当たり」
「やっぱり・・・だからアンタしたい時って必ず首筋から責めてくるんだ!」
「大当たり」
「って何してるんですか!?」
「だから首筋攻めてるんじゃねーかよ?」
「ちょっスル気ですか!?」
「ご期待にお答えして」
「き、期待してませんから!」
「いや〜巳咲に首筋舐めてって言われる日が来るとはな〜♪」
「ちょっ言ってませんよそんな事!!」
「心配するな、心の声を聞いただけだ。」
「思ってもいません!」
「以心伝心だな?」
「結構です!!」


でも結局、食われる。










■ その参



「あ」
「あ?」
「ジャカジャン!!」
「先輩、キャラ変わってませんか?」
「こんな所メモ用紙が!!」
「聞いてますか?」
「三枚目のメモ用紙!」
「全っ然、聞いてませんね?」
「聞いても止まらねーからな〜」
「・・・・・・」
「【黒田巳咲に答えてもらおう、その参】!」
「もう好きにしてください・・・・(涙)」

心の底から楽しそうな志賀に脱力する。

「今回は何だろうな〜え〜っと・・・【自分で思う相手のオトシ方は?】・・・何だそりゃ??」
「さぁ?作者の考えてる事なんて1ミクロンとも理解できませんので。」
「同感だな。あ、続きがある。」
「?」
「【例えば、コレをやったら相手・志賀を虜にできる技】だとよ。」
「虜って・・・・」
「【または、メロメロにできる技】って、メロメロって何だよ・・・・」
「アンタの口からメロメロって聞くと寒気がします。」
「・・・テメー相変わらず喧嘩売ってんのか?」
「はっ!うわっちょっ近寄らないでください!!」
「言っても分かんねーんだったら、身体で仕込んでやるって・・・な?」
「な?じゃないです!!それより、質問は!?」
「・・・・っち」
「っち・・・ってアンタ・・・・」
「で、早く答えろ、てか俺をオトシてみろよ(ニヤリ)」

腕を組んでふんぞり返る志賀に、疲れたような黒田の溜息。

「何でアンタそんなに態度デカイんですか?」
「エライから。」
「・・・・・」
「寧ろ強いから。」
「あいつの次にでしょうが。」
「・・・・お前、今その名前出すんじゃねーよ!」

バッと振り返っていない事を慌てて確かめる。

「・・・情けなっ」
「うっウルセー!で、早く答えろ!」
「答えろって言われても・・・・う〜ん・・・」

漸く落ちついたのか、またふんぞり返ってソファーに身を沈める志賀をジッと見つめる。

「・・・・・虜にできるか分かりませんけど・・・」
「おう、ドンと来い」

身を沈めて座っている志賀を跨ぐように膝立って、見下ろすように見詰める。

「この目線は新鮮だな〜」
「アンタがバカ高いからですよ」

ニヤニヤ笑っている志賀の唇に指先を触れさせてなぞる。
その指先を舐められて、黒田はふわっと微笑んだ。
「・・・・」
「どうしました、先輩?」
「ぁ〜・・・・降参・・・・」
「?まだ何もしてませんよ?」




俺はお前の笑った顔が一番弱いんだよ。










■ その四



「今日は七夕だな巳咲。」
「そうですね。」
「七夕のくせして、酷い雷だったな巳咲。」
「そうですね。」
「織姫と彦星は会えずじまいだな巳咲。」
「そうですね。」
「彦星の正式名称知ってるか巳咲?」
「そうですね。」
「牽牛だ。」
「そうですね。」
「明日も雨だ」
「そうですね。」
「俺は弱い。」
「そうですね。」
「お前は俺を愛してる。」
「そうですね。」
「お嫁さんにしてもらいたいと思っている」
「そうですね。」
「むしろ今からでも嫁に来たい」
「そうですね。」
「・・・・・・」
「そうですね。」
「アルタごっこか?」
「そうですね。」

いつまでも同じ返事の黒田。
背を向けているので何をしているかと見れば、本を読んでいる。

「そうですね。」
「何も言ってねーよ」
「そうですね。」
「今からヤッても良いよな?」
「そうですね。」
「じゃ今日はナマの気分なんだイイか?」
「そうですね。」
「お前もそんな気分か?」
「そうですね。」
「じゃ、いただきます。」
「そうで・・・・って、何してんですかアンタ!!?」
「は?お前が生でもして良いって言うから、いただくんじゃねーかよ。」
「はぁ?!」
「『そうですね』ってお前が何度も言ってたぞ。」
「はっ!?」
「『お前もそんな気分か?』って聞いたら『そうですね』って言ってたぞ。」
「えぇっ!?」
「そこまで、何度も『そうですね』って言われりゃ〜ご期待にお答えしなくてはならんしな。」
「期待も同意もしてません!!」
「いや、してたから心配すんな。」
「そんな心配なんてしてませんって!」
「あ、ちなみに【黒田巳咲にに答えてもらおう、その四】に書いてあったんだが【今日は七夕!黒田巳咲のお願いな〜〜んだ!】だそうだ。」
「っげ!!」
「よって、お前の願いは【中出し・ナマ】なんだと受け取った。」
「んなわけないでしょうが!!」
「短冊にも書いてあったことだし、いただきます。」
「ひぎゃーーーーーーーーー(涙)!!」



むしろ志賀のお願いに三千点。










■ その伍



「・・・・・・」
「・・・・・・」
「何身構えてんだよ?」
「アンタの持ってる紙に身構えてるんです。」
「お〜ぉ〜察しが良いな巳咲。」
「破り捨ててもらえませんか、ソレ?」
「う〜ん・・・・考えてやっても良いが・・・・そうだな、こっちのメモ用紙とこっちのメモ用紙どっちが良いか選ばしてやるよ。」

左右どちらにもメモ用紙。

「ちなみに右は俺、左が作者。」
「・・・・」
「最後の【黒田巳咲に答えてもらおう、その伍】だ。」
「それで最後ですか?」
「おぅ、コレで最後だ。」
「・・・・・」
「で、どっちが良い??右手と左手、俺か作者か。」

どちらにしろ究極の選択っぽい気がしてならない黒田君である。

「中身見るって事はできないんですか?」
「う〜ん・・・・取り敢えず、却下。」
「その答えからして、どちらも選びたくないんですけど・・・・」
「ソレも却下。」
「・・・・・」
「中身は言えねーけど、予想してみろよ。俺の考えそうな事と、作者が最後に何を持ってくるかって事を、さ?」
「・・・・・」
「ん?」
「物凄く究極の選択じゃないですか?」
「そうかもしれん、けれどそうじゃないかもしれない。」
「・・・・っ」
「じゃ〜ヒント、作者からのメモの俺的解釈。」
「はい。」
「馬鹿じゃねーの!?だな。」
「っ・・・!」
「俺からのメモの他人的解釈予想」
「はい・・・」
「熱でもあるのか?生まれ変わったのか?かな、ってか失礼極まりないと思えんか?」
「アンタが自分で思ってることでしょうが!!」
「ま、そうなんだろうけどよ。でも、ムカつく。」
「・・・・はぁ」
「さ〜〜ってと、右手と左手、俺か作者か?巳咲はどっちを選ぶ?」

にや〜〜っとした笑みで聞かれれば、その場を逃げ出したい気持ちで一杯である。
でも、逃げたら逃げたでその後が怖い。
右を選ぶべきか、左を選ぶべきか?

「ど〜〜っちだ?」
「〜〜〜〜っ」
「ど〜〜〜〜っちだ??」
「うーーーーーーー」
「さ〜〜ってと、ど〜〜〜っちだぁ????」

心底楽しそうな志賀の手からメモ用紙を取り去る。
選んだのは・・・・右。

「・・・・俺を選んだな?」
「アンタを選ばなかったら、後々大変だろうと思っただけ。」
「賢明な判断だ。」
「・・・見ても?」
「いいぞ、ちなみにこの封筒付だ。」

手渡されたA4サイズの茶封筒。

「??」
「見てみろ、ちなみに俺は記入済みだ。」
「・・・・記入済み?」

何の事だろうと思って、恐る恐る封筒を開けてみる。

「・・・・・・・」
「どうだ?」
「・・・・・・・」
「ちゃんと、判子も押せよ?」
「・・・・・・・」

ニッコニッコと上機嫌の志賀。
しかし、黒田君は握り締めた用紙・・・・ちなみに婚姻届(笑)の手が見えないくらいに震えている。

「アンタって人は・・・・!!」
「ってか、反対に俺らしいとか思わねーか??」
「っ!!」
「さ、妻の欄にお前の名前を書け。」
「ふざけんのも大概にしろーーーーーーーー!!バカーーーーーーーーーーっ(涙)!!」



丸めた婚姻届を志賀の顔面に投げつけて泣きながら黒田君は走って行ってしまった・・・・・


















おまけ










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